ビジョンに触れる
社長メッセージ
株式会社大丸松坂屋百貨店
代表取締役社長
宗森 耕二MUNEMORI Koji
いま大丸・松坂屋は、変革期の真っ只中。
300年、400年と変わらない価値観と、
お客さまとのつながりを軸に
その姿を、未来に向けて変えようとしています。
伝統と若いまなざしが交差して、何がはじまるだろう。
これからの百貨店は、どういう姿になっていくのでしょうか――時代が大きな転換点を迎える中、百貨店にも、次の時代に向けた変革が求められていることは間違いありませんが、多様化や変化が胎動している今という時代は、百貨店にとって大きな商機があるととらえることもできます。
私は社長の任についてまだ日が浅いのですが、百貨店には大きな可能性があるととらえており、さまざまな挑戦に取り組もうと意気込んでいるところです。
大丸・松坂屋は、長い歴史を持った百貨店です。伝統や格式は、とかく保守的ととらえられがちですが、先人の知恵や文化が詰まっているところでもあります。その良さを活かしながら、未来に向けた姿を描いていくのは挑戦しがいのある仕事です。そして、それを実現するには、若く新鮮な目を持った“人の力”が必要不可欠と考えています。
やってみたい、と、やってみる、が原動力。
“人の力”として大事なのは「WILL=意思・情熱」と「行動力」です。「WILL」とは、その仕事について明快な意図を持ち、感受性を全開にして情熱を抱いて取り組むことです。「行動力」については、「何もやらないと将来は変わらない」という自覚を持ち、周囲を巻き込みながら、共にかたちにしていくことです。二つの一方に偏ることなく、両輪のバランスをとっていくことが肝要であり、そのためには、自分のありようを客観的にとらえる眼差しやそれをシステムやルールといったオペレーションに変換できる論理的思考力が大事ととらえています。
私は「百貨店で働いてみたい」という思いから、大丸・松坂屋に入りました。さまざまな挑戦をさせてもらい、若い頃は失敗もしましたが、それがあったからこそ、成功に向けての学びや経験を積むことができたと感じています。これからも、皆さんが「WILL」を持ち、挑戦する「行動力」を発揮できるような環境を強化していこうと考えていますので、失敗を恐れず、前に進んでいって欲しいと思います。
答えは、現場にある。
また、仕事を通して心がけてきたことのひとつは、現場の社員とのコミュニケーションです。当たり前のように思うかもしれませんが、日々の仕事を通して自分も会社も成長していくには、コミュニケーションをしっかり取って、先に見えているゴールを目指しながら、目の前の役割を遂行していくことが大事です。私自身が実践してきたことでもあり、これからさらに徹底していこうと考えています。
だったらいいなを構想し、かたちにして問いかける仕事。
百貨店で働く醍醐味は、自由な発想にもとづいて、新しいモノやコトを興せるところです。取引先であるブランドと、アイデアを盛り込んだ商品を開発し、お客さまが手に取って喜んでいる姿を目の当たりにすることができる――私はそこに大きなやりがいを感じてきました。
世の中にあまたある商品やサービスの中から、新たな工夫を凝らしたものを選んだり創ったりし、その価値をお客さまに伝えていくのは、大いなる創造力と実行力が発揮できるところでもあります。価格や機能といった利便性に寄った価値軸だけでなく、質の良さや豊かな気分といった感情や情緒に寄った価値軸を持って、上質で潤いのある暮らしを描き、お客さまに伝えていく――新しい価値を「創って伝える」、そこに百貨店が社会に向けて果たす文化的な役割があると考えています。
大丸松坂屋百貨店には、15の「本店」がある。
大丸・松坂屋は、北は札幌から南は博多まで、全国にわたって15店舗を展開しています。それも均質なチェーンオペレーションではなく、それぞれの店舗が地域とつながり、地元の文化や風土を大切にしながら、独自性や個性を発揮してきました。
たとえば大丸神戸店は、周辺に広がる旧外国人居留地の古い建物を活かし、多様なブランドブティックを作り、モダンで上質な街作りを行ってきました。また、大丸京都店は、伝統ある町家を使い、ラグジュアリーブランドをはじめ、さまざまなポップアップイベントを行っています。さらに大丸須磨店には市立図書館が、松坂屋静岡店には「スマートアクアリウム静岡」という水族館が入っており、地元をはじめ、多くの方々に愛されています。
いわば“シビックプライド”とも言える、それぞれのローカリティを尊重しながら、フラットにつながり、支え合うかかわりを大事にしてきたのです。全国にわたる店舗という特徴を活かし、今後は、ローカリティに根ざしたコンテンツをネットワーク化していくことも考えています。
豊かな発想力や瑞々しい感性、たくましい好奇心、力強い実行力を備えた若い力は、これからの百貨店にとって、なくてはならない存在です。自ら考え、自ら動き、自らの夢や希望をかたちにしたいと考えている方と、一緒に働けることを楽しみにしています。